SADIDJapanについて

代表理事 小林

 歯科医療は、高度化と複雑化を続けています。X線写真による歯と歯周組織の観察を出発点とした歯科の画像検査・診断の役割は、CTを用いた顎顔面の三次元的観察、さらには、治療のシミュレーションやナビゲーションへと広がってきました。

このような先進化の一方で、画像診断に課せられた最大の使命は、医療安全の確保にあります。多忙な日常臨床の場においては、悪性腫瘍や全身疾患の存在を示唆する所見の見落としや、読影中の小さな判断ミスを無くすことができれば、歯科医療の質は高まり、国民にこれまで以上に貢献できることになるでしょう。

総合病院では、放射線科専門医が画像診断を担当しています。また、X線撮影などの画像検査を担当する診療放射線技師も働いています。

一方、歯科医療においては、歯科医師みずからが、検査、診断、治療のすべてをおこなっています。歯科において放射線の専門医が画像診断に関与できるのは、全国29の歯学部・歯科大学に関連した施設に限られてしまいます。日本では、1年間に約1000万枚のパノラマX線写真が撮影され、約1000台の歯科用CTが稼働しています。単純に見積もると、専門医による画像診断を受けている歯科のパノラマおよびCT検査は、全体の約3%にすぎません。

SADID Japanは、より多くの歯科医院に、画像診断に関するさまざまなサポートを提供する目的で設立された組織です。皆様からお送りいただいた画像を分析してオピニオンレポートを作成する遠隔画像診断支援のサービスを中心に、検査と診断のスキルアップに役立つ情報提供などを展開して、画像診断の側面から医療安全を支えてまいります。SADID Japanへの参加は、患者様との信頼関係をより強固にする事や、治療すべき疾患を見落しなく発見する事を通じて、個々の診療施設の医療の質を向上させ、施設の発展に寄与するものと考えています。共に手を組んで、患者さま方により多くの福音があることを願っています。